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(2002年9月17日付)
ヒマラヤの王国ネパールが激しく揺れている。震源は中央政府に対し武装闘争を展開する毛沢東主義派ゲリラ(マオイスト)である。9月初旬にもゲリラ側の襲撃事件が起き、300人近い死者が出た。これまでの犠牲者の数は4千数百人。マオイストの拠点である中西部の山岳地帯は、すでに戦争さながらの厳戒令下にある。
マオイストは年々拡大する都市と農村の格差、カースト制度による階級差別や民族差別、山岳部における行政の空白など、ネパール社会の矛盾を背景に影響力を伸ばしてきた。問題の根が深いだけに、軍隊を派遣するだけでは、事態を収拾することは難しい。
現在、最も懸念されるのは一般の農民たちに多くの犠牲者が出ていることだ。ゲリラ側は非協力的な村人を処罰する一方、政府の治安部隊はゲリラへの協力者を処刑しているという。両者の板ばさみとなった農民たちは、どこにも逃げ場がない。
このような状況下、米国はネパール軍に対し、2000万ドルの援助を決めた。中国包囲網の構築やチベット問題をにらんでの布石と思われるが、この決定には「軍による人権侵害を助長するもの」として人権団体から強い批判も出ている。
いずれにせよ、大国の介入は事態を紛糾させる。国際社会は武力を使わない問題解決をネパール政府に要請し、これ以上の流血を避ける努力をすべきだ。
(野中章弘・アジアプレス代表)