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(2002年8月6日付)
先ごろ、日本の一歩先をいく韓国と台湾のオン・ライン・ジャーナリズムの現状を視察してきた。新聞、テレビに代わる新しいメディアの可能性を探るためである。
「インターネットは私の夢を500パーセント実現してくれた」。予想外の成功に驚いているのは、韓国でオーマイニュース(OMN)というニュース・サイトを立ち上げた呉演浩(オ・ヨンホ)氏。OMNは、市民ジャーナリズムというべきもので、毎日掲載される120本の記事のうち、8割は8000人余りの市民記者たちが取材したものという。
サイトを訪れる人の数は一日約200万人。韓国の有力日刊紙に匹敵する影響力を発揮し始めている。
市民参加型のOMNに対し、高級ジャーナリズムを志向するのはプレジアンというウェブ・ジャーナル。これは元新聞記者たちが自由な発表媒体を求めて、昨年9月に創刊したもの。スタッフは15人と少ないが、日刊紙のスタイルをとっている。
韓国では80年代後半からの民主化に伴い、言論・報道の自由も急速に進んできた。しかし、朝鮮半島の政治的緊張は続いており、マスメディアもそのような状況に配慮せねばならぬことも多い。一時期、金大中大統領の「太陽政策」を批判することは、南北の融和ムードに水を差すものとして、マスメディアから批判的な論調が影を潜めたこともあった。
プレジアンは「韓国のメディアは米国に遠慮がちで、米軍批判など書けない事もある。タブーのない掘り下げた記事を掲載していきたい」という。
台湾で最大のヒット数(1日約600万)を誇る東森(トンセン)のネットニュースは、速報性に力を注ぎ、既成のマスメディアとの差別化を図っている。特に地震などの事件報道は、ネットニュースの独壇場ともいえる。経験のある記者が少ないなど課題は多いものの、新しいジャーナリズムを創出しようという勢いを感じさせる。
日本以上にインターネットの普及率が高い韓国や台湾。オン・ライン・ジャーナリズムが衰退傾向の見え始めたマスメディアを凌駕(りょうが)する日は近い。
(野中章弘・アジアプレス代表)