【Seikyo Media Page】Copyright (C) 1997-2002 by The Seikyo Shimbun.



アジアの潮流

連載コラム
「アジアの潮流」

【13】


アフガニスタン副大統領暗殺と麻薬ビジネス

(2002年7月16日付)

 アフガニスタンがまたもやきな臭い。カルザイ政権の中核的存在だったカディール副大統領が暗殺されたからだ。

 ただ今回の事件は、政争というより、麻薬のトラブルらしい。彼の本拠地であるアフガン東部はいまや世界最大のケシの生産地であり、ここで精製されたヘロインは世界中に密輸されている。そのビジネスを裏で牛耳っているのがカディール氏などの軍閥やマフィアたちだといわれていた。

 私もこの2月、カディール氏の後継者である子息のザヘル司令官と何度か食事をともにしたことがある。彼は麻薬ビジネスとのかかわりを否定したが、4000人の兵士を養うカネの出所については明言しなかった。潤沢な資金の源はやはり麻薬とみなすのが妥当だろう。

 「ケシを栽培しなければ、私たちは餓死するしかありません」。そう言った農民の言葉も耳の底に残っている。ケシから採取される生アヘンは、1キロ500ドルで売れる。内戦や干ばつに苦しむ農民たちには貴重な現金収入だ。国際社会からいくら非難されようとも、ケシに替わる収入源がない限り、栽培をやめさせることはできない。

 ここでは誰もが生き延びるのに必死である。ブッシュ大統領の唱える「善」と「悪」などという、単純な図式で割り切れる社会ではないことを私たちは理解せねばならない。

 (野中章弘・アジアプレス代表)