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(2002年6月4日付)
好戦姿勢をエスカレートさせている印パ両政府に対し、米英ほか対アフガニスタン武力攻撃に加わる各国が「自制」を促している。これに対し、アジアで最も先進的なフェミニズム出版社を興したインドの女性ジャーナリスト、ウルワシー・ブターリアの日本へのメッセージを紹介したい。
「今日インドとパキスタンは再び戦争という言葉を口にし始めています。これはアフガニスタンを空爆し、パキスタンをその拠点とするアメリカの一方的な決断の副産物にほかなりません」(『沈黙の向こう側』藤岡恵美子訳、明石書店)。米英が、自らの政治的・経済的・軍事的権益のため現地を翻弄(ほんろう)してきた歴史的経緯も、今回の軍事行動でさらに現地を混乱させた事実も、省みないことへの批判である。
98年の核実験時もそうだったが、印パ両首脳の姿勢には少なからず「示威的」なニュアンスがある。その背景を端的にいえば内政基盤の危うさだ。インド政府は国会議事堂襲撃事件(昨年12月)やヒンドゥ教徒巡礼者が乗る列車襲撃事件とそれに続く暴動(今年2月以後)などを招いた責任を問われているし、パキスタン政府は宗教団体への弾圧や、任期延長に関する国民投票(5月1日)が非民主的だと突き上げられている。
また、英国からの分離独立で亜大陸に親族が散らばる、つまり親族にはインド国籍もパキスタン国籍もバングラデシュ国籍もいるという人々は非常に多い。国と国との武力紛争が何をもたらすか皮膚感覚で理解する人々である。その一人でもあるブターリアは「(略)この戦争は、テロリズムを粉砕するためというより、権力を確立するための戦争です。我々二つの国が戦争中のような態度をとっているのも、同じ理由からです」と先の叙述に続けている。
インド野党第1党の国民会議派も最近「政府のポピュリズム的な姿勢に同調すべきではない」という声明を発表した。声高な言説に翻弄されて聴くべき声の判断を誤ってはならない。
(関口千恵・ジャーナリスト)