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(2001年10月30日付)
10月20、21日と中国上海で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)は、同地域における貿易・投資の自由化をうたった「上海アコード(合意)」を採択して終えた。
同会議でメーン・スピーカーを務めたアロヨ・フィリピン大統領は、同首脳会議の議題に「経済的安全保障」を盛り込むべきと提案。ともすれば、政治合意に傾きがちな今回の会合に、本来の経済会議の色彩を取り戻そうと躍起だった。
たしかに、アジア地域の景気後退は深刻だ。その影響は、とりわけ貧困層には甚大である。同地域において1日2ドル未満で生活する貧困層の割合は約46%。貧困削減のペースは明らかに落ちている。
「貧困は屈辱だ。だれかに依存している感覚。助けを求めていて、無礼、屈辱、無関心に直面し、受け入れるしかないという感覚」−−。世界銀行が編纂した「貧しい人々の声」は、貧困の真の悲劇が人間性の否定であることを教える。
テロ事件の背後にある貧困の撲滅には、軍事的・経済的な安全保障を超えて、世界的な社会保障(富の再分配)が求められている。それには「世界政府」も視野に入れなければならない。「人間の安全保障」が真剣に議論される時を迎えた。
(西田実仁・ジャーナリスト)