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アジアの潮流

連載コラム
「アジアの潮流」

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グラミン銀行:貧困層や女性に融資「世界で最も成功した商業銀行」

(2002年2月5日付)

 バングラデシュ・グラミン銀行(Grameen Bank)のムハマド・ユヌス総裁(Dr.Muhammad Yunus)が1月末に来日した。

 「世界で最も成功した商業銀行」(VOA)と絶賛されるグラミン銀行の最大の特長は、既存の金融制度が排除してきた人々を対象にするところにある。最貧困層のなかでも特に女性を対象に、無担保で事業資金を貸し付ける、マイクロクレジットと呼ばれるサービスを行っているのだ。

 発端は、フルブライト奨学生として米国で経済学博士号を取得、帰国して大学教授をしていたユヌス氏が、貧困層や女性を差別し排除する既存の金融制度と、それを擁護する経済学理論に疑問を感じたことだった。

 それから26年目の今日、240万人の顧客を抱え年間総融資額は35億ドルを超える。返済率は95〜98%の高さ。言い換えれば、これだけの人々がわずかな融資で、もともと持つ能力、たとえば手工芸品作りの技能を生かして仕事にし、貧困状態から脱出したということだ。

 マイクロクレジットは現在までに文化や宗教の異なる80カ国でも模倣されている。ここには北米や西欧のような先進諸国も含まれる。1997年、米国に137カ国を集めたマイクロクレジットサミットでは、2005年までに1億の貧困世帯へ融資する目標を設定、すでに2500万世帯をカバー済みだ。

 この成果から、アフガニスタン復興支援の具体策としてマイクロクレジットを提言する国会議員向けの講演会が議員会館で開かれた。「テロリズムの根底にあるのは貧困です。持てる者のみがますます持てるという金融制度の欠陥、私が言うファイナンシャル・アパルトヘイト(経済的差別)によって疎外(そがい)される貧しい人々の怒りが放置されてはならないのです」(ユヌス総裁)

 地球上から貧困を撲滅(ぼくめつ)するという目的と、その実現のためのプラグマティズムを兼ね備えたグラミン銀行。その広がりを見る度(たび)に浮かんでくるのは、まさに「希望」という言葉である。

(関口千恵・ジャーナリスト)