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(2004年12月21日付)
米国防長官が4年ごとに議会に報告する「国防計画レビュー」(QDR)の作成が目下、最終段階に入っている。1996年に発効した「軍隊の戦力構成見直し法」に基づき4年ごとに出さねばならない。ところが、ペンタゴンに近い米ジャーナリストによると、その中で、中国についてどう定義づけするかで激しい意見対立が続いているらしい。
具体的には、中国の脅威を現状ではあまり過大評価しないライアン・ヘンリー筆頭国防次官補代理と、中国を現実の脅威と位置付けるジム・トーマス国防次官補代理とが真っ向から対立しているという。二人ともラムズフェルド長官、ウォルフウイッツ副長官の側近中の側近だ。それだけにこの意見対立は極めて深刻だというのだ。
4年前のQDRでは中国を名指しでは脅威とはしておらず、「Rising Power(増大するパワー)」と表現することで中国を刺激するのを避けている。ここ2、3年、米メディアや学者の論文では「中国の脅威」という言葉が盛んに使われている。しかしQDRはペンタゴンが公式に出す報告書だ。今回中国をはっきりと「Threat(脅威)」と表現すれば、ペンタゴンが対中認識を大きく変えたことになる。
もともとペンタゴンには親中国派は少ない。だからヘンリー次官補代理らが中国を軍事的脅威と見ていないわけではない。むしろ彼らは政治家より政治的なのだ。北朝鮮の核武装阻止、さらには国際的なテロ撲滅を遂行する上で中国の協力・支援はどうしても不可欠と見ている。そのためにはここは抑えて、「戦略的なポーズ」をとるべきだと主張しているのだ。
一方のトーマス次官補代理らは、最近では白昼堂々とグアムの米軍基地周辺を航行し、その後には日本の領海を堂々と侵犯してくる中国潜水艦の動向などからみて「中国の脅威」は明らかに「今そこにある危機」ではないかと反論しているわけだ。
中国の脅威の是非についてはペンタゴンの情報機関、国防情報局(DIA)が11月上旬に上院情報活動特別委員会に提出した報告では、「中国は台湾が挑発でもしない限り、今後5年の間に台湾を武力攻撃することはない」と言い切っている。
米中間には今年もいろいろなことがあった。QDRが中国をどう定義づけるかは別として、米中関係はお互いに自制しつつ新しい年を迎える。
(高濱賛・在米ジャーナリスト)