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(2004年11月16日付)
9日からピョンヤンで開かれていた北朝鮮による日本人拉致問題をめぐる第3回日朝実務者協議は、大きな進展もなく、閉会した。それどころか北朝鮮側は初日冒頭に核問題を協議する6者協議の年内開催を拒否すると伝えてきた。
北朝鮮は、ケリー民主党候補が北朝鮮との直接対話を主張していたことに一縷の望みをつないでいた。それだけにブッシュ再選は相当痛手だったのだろう。ブッシュ再選については一切の公式発言を避けてきた。6者協議年内開催拒否は、その意味でアメリカに対する最初の反応といえる。
米大統領選終盤に入って北朝鮮は6者協議だけでなく、日韓などの個別折衝を一切拒否してきた。日朝については拉致の事実関係再調査に時間を要するということで断り、韓国に対しては、イラクに韓国軍を派遣していることや20数年前の核兵器製造計画をタテに一切のコンタクトを避けてきた。ホンネは、米大統領選の結果を見極めるため、すべての国との接触を絶ったということだ。
そして大統領選ではブッシュ大統領が勝った。それを見極めて、まず日本と、そして韓国との接触を始めたのだ。
問題はアメリカである。大統領選の際のテレビ討論でも米朝直接対話を主張するケリー候補に対し、ブッシュ大統領は6者協議の堅持こそ核問題解決の唯一の道だと反論していた。そのブッシュ大統領が5900万票を獲得して再選された。しかも共和党は上下両院を制圧、北朝鮮にとっては厳しい情勢になってきた。
そうした状況で核問題の外交的な解決に向けての唯一の交渉窓口になっている6者協議。それまでも引き伸ばそうという北朝鮮の意図はなにか。ワシントンのシンクタンクの上級研究員の一人はこう見る。
「おそらくブッシュ政権は1月の選挙を控えたイラクの情勢安定化に頭が一杯で北朝鮮どころではないだろう、と考えているのだろう。しかしサダム・フセインやタリバーンの例を見るまでもなく、ブッシュはやる時はやる。その怖さを過小評価して火遊びをしていると、とんでもないことになる」
ブッシュ大統領が「宗教原理主義者の支援で勝てた」と判断すれば、善悪の二分法で北朝鮮をとらえることは十分考えられる。そのへんを金正日総書記の周りの外交ブレーンたちは肝に銘じておく方がいい。
(高濱賛・在米ジャーナリスト)