【Seikyo Media Page】Copyright (C) 1997-2004 by The Seikyo Shimbun.



新アジアの潮流

連載コラム
「新アジアの潮流」

【19】

米で対北朝鮮人権法案が成立
日本人拉致問題の解決盛り込む


(2004年10月19日付)

 米上下両院で通過、成立した北朝鮮人権法案(North Korea Human Rights Act of 2004)に日本人拉致問題の全面解明を求めた条項が明記された。

 拉致被害者家族の方々の熱心な働きかけの賜物だが、それに応えてくれた米議員には感謝したい。世界広しといえども日本国民の最大関心事をこれほどストレートに受け止めてくれ、北朝鮮へ圧力をかけてくれるのは米議会ぐらいなものだろう。ブッシュ大統領が署名するのは確実と見られている。

 同法案には、北朝鮮の金正日独裁体制下で引き続き人権抑圧が行われ、20万人もの政治犯が拘束されるなど、言論・宗教・集会の自由といった民主主義の根幹をなす人権を侵害している現実や、日本人を拉致するという法的にも人道的にもあってはならない暴挙を働いていることを、アメリカ議会は座視できないとしている。そして、これらが改善されない限り、(1)アメリカ政府は1995年以降続けてきた対北朝鮮人道食糧援助以外の支援をしてはならない(2)人権抑圧と飢餓を逃れて北朝鮮から逃げてくる「脱北者」を支援する非政府組織(NGO)への財政支援をせよ(3)北朝鮮国内に向けて流されている民主主義啓蒙ラジオ放送への資金を拠出せよ――といった要求を打ち出すとしている。こうした人権抑圧を結果的には支援している中国政府の行動にも、批判の矛先が向けられている。

 日本人拉致問題のくだりでは、韓国人拉致問題も含まれており、即時解放を要求している。ところが韓国は、この法案には極めて冷淡だ。とくに実質上の与党ウリ党は、「このような法案は北朝鮮に対する内政干渉であり、せっかく改善されてきている南北朝鮮関係に水を差すものだ」という声明まで出している。

 同法案が対北朝鮮向けの政治的駆け引きかどうかは別にして、北朝鮮の暴挙についてはっきりと物言うことが今ほど必要な時はないと思うのだが、韓国には別の考えがあるようだ。いずれにしても日本人は、ここは素直に感謝すべきだろう。

 (高濱賛・在米ジャーナリスト)

 【おことわり】10月5日付の本欄で触れた「米太平洋軍司令官に指名されたグレゴリー・マーチン空軍大将」は上院公聴会でボーイング社空中給油機汚職事件への対応をめぐって批判され、承認を受けるのは困難とみて10月6日付で指名を辞退した。

 (高濱賛・在米ジャーナリスト)