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新アジアの潮流

連載コラム
「新アジアの潮流」

【18】

注目される米太平洋軍司令官人事
ブッシュ政権の対中強硬路線反映か


(2004年10月5日付)

 ハワイ・オアフ島の高台に立つ白亜の瀟洒な建物。ここに太平洋地域に展開する米軍30万人を統括する米太平洋軍司令部がある。その最高司令官が太平洋軍司令官(CINCPAC)だ。在日米軍はもとより在韓米軍の陸海空軍兵力がすべて同司令官の指揮下に置かれている。

 8月中旬、ラムズフェルド国防長官は、これまでそのポストにあったトーマス・ファーゴ海軍大将の後任にグレゴリー・マーチン空軍大将を任命した。太平洋における米軍司令官ポストには、在韓米軍は陸軍、在日米軍は空軍、そして太平洋軍は海軍といった縄張りのようなものがあった。ところがこれに異変が起こったといっていいだろう。

 これまでほとんど海軍出身者が占めていた太平洋軍司令官ポストになにが起こったのか。当然のことながら海軍関係者はがっかりしている。が、この人事に失望というよりも警戒心を抱いているのは中国軍部首脳だという極秘情報がペンタゴンには入っていると、国防総省関係者が話していた。

 太平洋軍司令官といえば、これまで「中国の軍事的脅威」についてはあまり誇張しない穏健派海軍将軍たちが歴任してきた。ところがマーチン空軍大将は、というと、ペンタゴンでも屈指の中国脅威論者。その人物が太平洋軍司令官に抜擢された。その背後にブッシュ政権の対中強硬路線強化の姿勢があるのではないか、と中国軍部は見ているというのだ。

 確かに、マーチン大将は、空軍のハイテク近代化計画に参画、とくに陸海空兵力と収集した情報を調整統合させるコンセプトを強く主張してきた。単なる軍人というよりも理論派軍事戦略家といったほうがいいかもしれない。

 とくに中国については、「中国が台湾に武力行使を仕掛ければ、米軍が100%報復攻撃に出るという状況があることを中国に肌で感じさせるだけの機動力を持った米軍事力を常に備えておく」ことの重要性を強調してきている。

 太平洋軍司令官人事が、ブッシュ政権が進めている海外駐留米軍のトランスフォーメーション(変革・再編)の要になっていることは言うまでもない。ハイテク軍事技術で間に合う分野はハイテクに任せ、削減できる人員は削減し、それを必要とするスポットに機械的に移すという概念の中で、「中国の軍事的脅威」にどう対処すべきか。

 そうした戦略の中で在日米軍の再編が重要な地位を占めていることは言うまでもない。

 (高濱賛・在米ジャーナリスト)