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(2004年9月7日付)
今年4月から5月にかけて北朝鮮の地方都市は近年稀な危機的状況にあるようだ。路上には餓死者や行き倒れの死体が放置されたままとの目撃者の報告も入っている。
こうした状況をなんとかしようとしたのだろう。金正日総書記は4月19日には電撃訪中、20万トンの食糧支援を取り付けた。さらには小泉首相との日朝首脳会談にも応じて、日本人拉致被害者について再調査する代償として食糧25万トンの人道支援約束も取り付けた。
だが、人道支援団体などの話だと、これだけでは「焼け石に水。そのほとんどは高級官僚や軍幹部の口に入るだけで、危機的状況にある地方都市などには回るはずもない」という。脱北者の数はどんどん増えている。
すでに北朝鮮を逃げ出し、不法滞在者取り締まりの厳しくなった中国国内からベトナム国境を越えて東南アジア諸国に逃げ込む者が急増している。それら不法滞在者のうち468人が韓国政府の決定により一挙に韓国に助け出された。「北朝鮮の面子を保つため」(韓国政府筋)として公式発表もなにもない「救出作戦」だった。
これで在韓脱北者は5000人を軽く超えた。だが、この期に及んでも北朝鮮当局は「韓国は白昼堂々とわが国民を拉致した」と激しく非難している。
米情報機関情報に強いサイト「East‐Asia‐Intel.Com」によると、北朝鮮国内に金政権打倒を目指す地下組織が形成されているという。「食糧難打破は金政権打倒以外にない」と団結を訴えるビラを配布している。
こうした事態が外部に漏れるのを避けるため、6月以降、外国人の北朝鮮入国を全面的に禁じているともいう。これは、1997年に韓国に亡命した黄長■<火に華>・元朝鮮労働党書記の側近が8月上旬、明らかにしたものだ。
案の定、「食糧欲しさ」で日朝外務省事務レベルの協議に応じた北朝鮮外交官からは、日本人拉致被害者についての新しい情報などはなかった。
さらに北朝鮮は8月中旬予定されていた核問題6者協議作業グループへの参加も拒否してきた。北朝鮮内でなにか異常事態が起こっていることだけは間違いなさそうだ。
(高濱賛・在米ジャーナリスト)