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(2004年5月4日付)
すでに161人の死亡が確認され(4月27日現在)、1300人(うち児童が半数)の負傷者を出した北朝鮮・竜川での列車爆発事故は、「竜川市の4割を破壊、損害総額は3億5600万ドル」(国営朝鮮中央通信)になったという。本当だとすれば、北朝鮮の国民総生産(175億ドル)のなんと2・28%の損害ということになる。
アメリカの専門家たちは、この時点でこの事故をどう見ているのだろうか。
第一の関心事は、金正日総書記が鉄路訪中し、帰路事故現場を通過したのは事故発生9時間前だった点だ。貨車には中国から運ばれてきた燃料や肥料、爆薬の原料となる硝酸アンモニウムなどが積まれていた。金訪中の際に中国からの「おみやげ」としてもらった貴重な品々だったと、ワシントンのシンクタンク主任研究員は憶測している。
事件直後には金総書記の暗殺を狙った爆破ではないのかという分析があった。韓国政府などは直ちに否定しているが、百歩譲って、暗殺未遂でなかったとしても「金訪中のために特別警備体制を敷いてきた鉄道関係者たちが緊張感から解放され、ちょっとした気の緩みから起こった」(北朝鮮問題専門家のA・フォスター・カーター氏)ことだけは間違いない。
第二の点は、北朝鮮が異例の早さで事故を報じ、国際機関などの現場視察を受け入れたことについてだ。前述の総書記暗殺未遂説を否定する政治的目的もあっただろうが、それよりも食糧不足と貧困とで、ここ10年で50万人から300万人の餓死者を出している金独裁政権だけでは対応しきれなくなったのだろう。
18年前、旧ソ連ではチェルノブイリ原発事故があった。当初ソ連は事故を認めなかった。結局、最後には認めたが、事故5年後にソ連は崩壊した。北朝鮮も同じ道を辿るかどうか。今回のような事故が北朝鮮が隠し持っている核物質の付近で起こっていたら、思っただけでもぞっとする。
(高濱賛・在米ジャーナリスト)