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(2004年4月20日付)
イスラム過激派の犯行と見られる3邦人誘拐(4月15日、無事解放された)で緊迫化している最中、チェイニー米副大統領が来日。そのあと中国、韓国を歴訪した。激動の波がイラクだけではなく、東アジアにも容赦なく押し寄せていることをひしひしと感じさせられる米要人の極東歴訪だった。
アジアの要人たちの動きも急である。李肇星・中国外相が北朝鮮を訪問し、金正日総書記と会談したのは2週間前。中国外相の訪朝は5年ぶりだ。昨日、金正日総書記は訪中した。
台湾で対中強硬派の陳水扁総統が再選されたのは3週間前。15日には韓国では盧武鉉大統領の弾劾訴追を受けた総選挙が行われ、実質与党のウリ党が圧勝、盧大統領は首の皮一枚つながった。
チェイニー副大統領の極東歴訪の狙いについては、日本では「邦人誘拐事件一色」であまり論議されなかったように思うのだが、実は、中台、南北朝鮮という「弾薬庫」を抱える東アジア情勢にアメリカは今後どう対応していくのか、ブッシュ第1次政権残り7カ月のアジア政策を固める重要なミッションだったといえる。
チェイニー歴訪は、金正日総書記の目にはどのように映ったのだろうか。北朝鮮の食糧難はついに配給制度の廃止をも余儀なくされている。台所は火の車。それでも強がりと超楽観主義からくる夜郎自大は不治の病のようだ。
対韓国では、北朝鮮は、金大中前政権の太陽政策を継承する盧武鉉政権はくみしやすいと見ているのか、弾劾訴追に対しては「議会クーデターだ」と最大野党のハンナラ党を激しく非難した。その意味では盧大統領の「復権」は北朝鮮にとっては「朗報」だろう。
対米では、北朝鮮は「ブッシュ政権よりもケリー政権の方が御しやすい」と判断、核協議は11月まで凍結させる可能性すらあるとの報道もある。
一方で、チェイニー副大統領の歴訪前に、米上院筋が「チェイニーは北朝鮮の出方次第ではアメリカは軍事行動も辞さないことを日韓首脳に伝達する可能性がある」と述べたという情報がある。東アジアも一触即発であることに変わりはない。
(高濱賛・在米ジャーナリスト)