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(2001年10月16日付)
テロとの戦いの先行きが不透明の中、米国経済の後退はより鮮明になりつつある。そのあおりを最も受けているのがシンガポールや台湾、マレーシアや香港といったIT輸出国・地域である。振り返れば、これらの国・地域は、97年のアジア通貨危機の被害が最も浅かった。
「遅れてやってきたアジア危機」と言われるゆえんだ。
だが、「危機」は危険であるとともに機会でもある。それを体現するかのように、日本の停滞を象徴するゼロ金利に陥った香港が、命綱の輸出戦略に新たな活路を見いだそうと動き出した。
ターゲットは意外にも日本である。香港の貿易拡大をつかさどる貿易発展局によれば、それは日本のシルバー市場だという。その魅力は「老齢人口の増加ばかりか、消費能力も相当高いこと」(同局)。たしかに、日本のシルバー市場の規模は1兆円以上に達している。
その消費額は全体の21%(2000年)、2010年には27%まで増加が見込まれている。
過去、香港商人の世界進出を手助けしてきた同局らしく、そのアドバイスも懇切丁寧だ。
いわく、「同じシルバー市場でもけっして“病弱な老人”向けの商品に偏ってはならない」、「文字盤や読みやすい腕時計、おしゃれなステッキ、着脱が簡単な衣服など、使いやすさを重視したアイデア商品が有望」等々。
どんな状況になっても、変化に対応しようとする香港のたくましさをここに見いだすものは少なくあるまい。
(西田実仁・ジャーナリスト)