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(2001年8月21日付)
熱帯、亜熱帯地域にあるはずの東南アジア各国が、最も寒い夏を迎えている。もちろん、気候のことではない。冷え切った景気のことである。
いまや、中国、インドを除くアジア地域の共通テーマは失業となった。原因は、世界の“胃袋”を自認するアメリカの景気後退である。ITブームに乗った情報関連機器の輸出が滞り、通貨危機(1997年)以降に急回復してきたアジア経済に急ブレーキがかかっている。アジア各国から出てくるのは、悲観的な見通しばかりである。
「今年の解雇者は前年の2倍に達する」−−。通貨危機でも最もダメージの小さかったシンガポールにして、労働者支援策への予算追加に懸命の状態。マレーシアの解雇者は年間15万人に達し、タイでも年内に140万人が失業しかねないとされる。
政治の混迷も加わるインドネシアでは、失業の増加によりストリート・チルドレンが急増しているとの報告も上がっている。
シンガポールの日刊紙「海峡時報」によれば、アジア地域(中国、インドを除く)の失業者は前年比12%増、最大で2110万人に達するとさえ言われる。
IT分野で台頭するインド、そしてWTO(世界貿易機構)への加盟、2008年オリンピック開催が決定した中国との対抗から、「構造改革」を余儀なくされるアジア各国。その過程で雇用調整が不可避であることは否定できない。日本と同様、社会保障制度の充実など社会の安定を確立する改革のリーダーシップが問われている。
(西田実仁・ジャーナリスト)