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アジアの潮流

連載コラム
「アジアの潮流」

【12】


カンボジアに遅れて訪れた春

(2001年6月19日付)


 アジアにおける政治と経済の安定度を測る一つのバロメータに、各国を訪れる外国人観光客数がある。カンボジアは、この点ではアジアの“優等生”である。

 すなわち、昨年同国を訪れた外国人観光客数は前年比27%増の47万人。今年に入っても1〜3月期は前年同期比40%増(17万人)と好調を維持している。

 昨年、大規模な洪水に見舞われたにもかかわらず、「今年、来年の経済成長率は6%台」とフンセン首相は強気の姿勢を崩さない。同首相が掲げてきた財政経済改革の成果である。

 経済の改革と並んで「政治生命をかける」と同首相が意気込むのが「森林改革」だ。「不法な森林伐採を止めさせることができなければ、今年第1四半期には辞任する」とまで決意して始めた改革である。現在も首相の交代がないことは、同氏の進める森林改革に一定の成果が上がっていることを意味する。

 事実、不法な森林伐採を禁止する森林法は、すでに閣議に提出されている。あくまで「参加のプロセス」を重んじる同国では現在、地元コミュニティやNGOなどの意見を吸い上げており、「おそらく今月末には、再び閣議に上程されるだろう」(アット・チョン経済・財政大臣)という。

 フンセン首相といえば、かつて「草原への道」という歌曲を作詞し、カンボジアで大ヒットした経験を持つ“詩人”。そんな詩心を持つリーダーの「森林改革」に世界の目が向けられている。

 (西田実仁・ジャーナリスト)