【Seikyo Media Page】Copyright (C) 1997-2001 by The Seikyo Shimbun.



アジアの潮流

連載コラム
「アジアの潮流」

【11】


優秀な若者に毛嫌いされる日本企業の憂鬱

(2001年6月5日付)


 先日、中国・上海にある某日系電機メーカーを訪れたときのこと。世界にその名を轟かせている同社が昨年、全国でも有数の上海交通大学や復旦大学から1人も新卒を採用できなかったという。

 地場の国営企業に比べて待遇は格段に良く、ブランド力でも欧米系に引けを取らない同社なだけに奇妙に思えた。現地の若者に聞けば、「いくらブランドが有名でも、所詮、日系企業でしょ。三流だよ」。学生による“日系”のイメージはここ数年、急速に悪化している。

 その理由の大半は、経営上の問題からのようである。日本から派遣される現地法人の社長は、35年で交代。ようやく人脈も築き、ノウハウも蓄積できた頃に、またゼロから始める新任の社長がやってくる。

 また、日本の本社から現地法人への権限が委譲されていないために商談に臨んでも意思決定が著しく遅い。現地でネットワークを持つローカル社員の志気は低下し、終業後のアルバイトにばかり精を出すようになる。

 今年に入って、某自動車会社や家電メーカーの欠陥品問題が頻発し、「日本製品事件」として人々の口の端に上るようにもなった。そうした企業は中国ではもちろん、日本でも苦戦を強いられている。

 一方で、衣料の量販メーカや100円ショップのように、中国からの輸入で成長著しい日本企業もある。どうやら、中国ビジネスの成否が会社の明暗をわかつ時代に入ったようだ。

 (西田実仁・ジャーナリスト)