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(2001年5月15日付)
上海から飛行機で約1時間、野菜の名産地として知られる山東省を訪れた。黄河流域の肥沃な大地は、温暖な気候に良質の水、そして1日4元(約60円)で農作業に従事する出稼ぎ労働者によって育まれた。日本への野菜輸出は、中国全土のそれの7割を占める。
野菜ばかりではない。最近は水産物の加工基地としても発展している。ロシア産のタコを沿岸都市・青島に運んで加工、例えば小さくぶつ切りにして日本へタコ焼き用に冷凍輸出したり、回転寿司用の寿司ネタも多くがここ青島から加工輸出されていく。加工工場は月給1万円ほどで、手つきもしなやかな“おとめーション”が競争力の源泉だ。
日本から持ち込んだタネやビニールハウスの無償提供を受け、ようやく日本人の好みに合った野菜が出荷できるようになった矢先の緊急輸入制限(セーフガード)。野菜の生産者からすれば、日中間の貿易摩擦というよりも、“日日貿易”の問題と映る。
山東省の肥沃な大地は、日清戦争から数えて3回にわたって日本の軍靴に踏みにじられた歴史を持つ。舞台を同じくして“貿易戦争”だけは避けたいものだ。「ネギがダメなら作付け転換して別の野菜で頑張ります。政府間はともかく、友好の礎はあくまで民間でしょう」と語るある食品メーカーの社長は、近々、日本との合弁会社を設立する予定だと微笑む。
(西田実仁・ジャーナリスト)