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(2001年4月3日付)
マスコミ報道による情報操作はよく知られるところだ。とくに海外からの、いわゆる外信記事は、日本のデスクの選り分けで固定したイメージが出来上がる。フィリピンは、そうした意味では秩序の欠如、不安定さを印象づける記事ばかりが目に付く国のひとつだ。
だが、同国は過去2回、平和裡に新しい政権を誕生させたある種の秩序を持つ。前政権を倒した現場には暴動も流血も皆無だった。あったのは、歌と祈りと連絡を取るための携帯電話だった。
また、米軍が撤退した跡地のスービックでは、ピナツボ火山噴火の後、多くのボランティアが復興に当たった。いま、かの地は政府からの補助金も受けず、週18便のチャーター便が行き交う新空港と2つの工業団地で活気づく。
こうしたフィリピンの献身の心は、高齢の外国人の移住をも促している。フィリピンには外国人退職者を迎え入れるPRA(退職庁)という政府機関がある。同庁認定の特別居住退職者ビザを受けた外国人退職者は5000人以上。フィリピンには目上の人を大切にする風土が根付いていることから、高齢者にも手厚い看護が保証されている、と現地高官は誇らしげだ。
もちろん、人件費の安さは魅力だ。先進国で認定を受けた看護の有資格者が月200ドルで雇用できる。
薬漬け、検査漬けで、日本の病院のベッド当たり医療従事者は0.9人しかいない。米国5人、欧州4人と比べても、日本の医療はいかに人を節約しているかが分かる。そんな日本から、600人を超える高齢者がフィリピンに移り住むのも頷(うなず)けないこともない。
(西田実仁・ジャーナリスト)