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アジアの潮流

連載コラム
「アジアの潮流」

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日本の教科書問題への懸念が話題となったボーアオ・フォーラム

(2001年3月6日付)


 風光明媚(めいび)な中国・海南島の博鰲(ボーアオ)に、アジアの有識者を集めて開催された「アジア版ダボス会議」。その設立大会に出席した江沢民国家主席は、中曽根康弘元首相と会談し「教科書検定では、日中友好を傷つけないよう格別の配慮をお願いしたい」旨の要請をしたという。

 中国側が問題視しているのは、「新しい歴史教科書をつくる会」の主導で編集され、現在、検定中の中学歴史教科書。別のグループの歴史学者らから、韓国併合や日中戦争などについて、「誤った歴史認識」と、反対声明を発表されている教科書である。

 歴史認識を巡る日中間のスレ違いについてはしばらくおく。ここでは、あえて日本のマスコミのステレオタイプな論調に注意を促(うなが)したい。国家主席からの「要請」はたしかに重い。が、これに対して「対日感情が悪化」と一様に恐れたり、反対に「事実上の内政干渉」と居丈高に陥(おちい)る論調は、これまでの繰り返しである。

 だが、中国国内ではきわめておさえた報道しかなされていない。かつて、教科書問題が持ち上がるや、テレビや新聞、雑誌を総動員して、日本の侵略戦争の特集を組む姿勢は一変している。

 対日姿勢の空気に変化が見られたのは、朱鎔基首相による昨年10月の訪日後から。江沢民主席による新年の年頭挨拶でも、例年には見られない「中日友好」の4文字が躍っていた。

 中国側は静かに日本の対応を見守っている。ここは、対中擁護か批判かといった不毛なイデオロギー対立を煽(あお)る報道は控えて、日中共通の歴史認識を持つ必要性を促すときであると戒めたい。

 (西田実仁・ジャーナリスト)