
(1999年10月5日付)
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報道被害の救済方法を検証へ 例会、会報発行、インターネットと多彩に |
「人権と報道関西の会」(以下「関西の会」と略称)には約百二十人の会員がおり、ほぼ二カ月に一回の割合で例会を開くとともに、「市民・メディア」という会報を毎月一回発行しています。また、毎年一回、大阪市内でシンポジウムを開催しています。
今年のシンポジウムは十二月四日(土)に予定されていますが、九月二十九日に甲山(かぶとやま)事件第二次控訴審判決がなされたのを受け、「報道被害救済に向けて――二十一世紀の人権と報道」と題し、これまでの事件報道を振り返りつつ、今後の報道のあり方や報道被害の救済方法を検証する予定です。
ちなみに、昨年のシンポジウムでは、甲山事件の山田悦子さんや現場のカメラマンなどをお招きして、和歌山カレー事件報道を検証しました。
例会は土曜日に開かれ、様々な報道問題を取り上げています。たとえば、七月三十一日の例会では、マスコミ記者自身から見た和歌山カレー事件報道の問題点や脳死移植報道についての報告があり、活発な議論が交わされました。また、九月二十五日の例会では、訪問販売法違反容疑で大々的な報道がなされた事件を取り上げ、事件報道により訪問販売会社が多大な損害を被った事例が報告されました。
近年議論が盛んになっている被害者問題についても、被害者側から見た報道というテーマで例会を開きました。例会は、報告者からの報告を受けて、参加者が自由に議論するという形式を取っています。この例会の内容は会報で随時報告されていますので、別掲のホームページで会報のバックナンバーとあわせてご覧いただけます。
会報は、これまで例会にあわせて隔月に発行していましたが、今年に入ってから毎月発行としました。その理由は、できるだけ多くの報道問題を取り上げたいとの思いからです。
会報では、例会で取り上げられたテーマの報告のほかに、最近では、アメリカで行われているインターネット放送の実情報告や『フォーカス』の法廷隠し撮り肖像権侵害訴訟についての解説など、事件報道にとらわれずに様々なメディア問題を取り上げています。また、簡単なコラムも掲載しています。
「関西の会」では、犯罪報道に限らず、報道に何らかの問題があれば、すなわち、そこに人権侵害が存在するならば、あらゆる報道を取り上げたいと思っています(ただ、必然的に事件報道が多くなってきますが)。
もちろん、例会に参加する人々が皆同じような意見を持っているわけではなく、当然、意見が分かれる場合もあります。しかしその場合でも、少なくとも現状の報道に問題があることを念頭に置きつつ、いかにすればこの報道をよりよいものにできるかということを皆で考えるというスタンスです。
特に今年は、日本弁護士連合会の人権大会のテーマの一つが「報道と人権――報道のあるべき姿を求めて」ということから、弁護士会として報道問題に関してどのような提言をするのか、「関西の会」としても、非常に興味をもって見守っています。
過去にも、報道問題について日弁連の人権大会が開かれましたが、その時は「匿名報道」にまで踏み込んだ提言はなされませんでした。近年の和歌山カレー事件報道や甲山事件判決を受けて、日弁連としてどのような提言をなすのか、以前と異なったスタンスがあるのか、人権と報道をどのような調整原理で捉えるのか、非常に興味深いところです。
ともあれ、「関西の会」としては、日弁連でどのような提言がなされようとも、報道に問題があればチェックをしつつ、どのような報道があるべき姿なのか、またどのような報道であれば、報道の自由・知る権利と報道されることによる人権侵害とを調整できるのかを常に念頭に置きながら、報道問題に取り組んでいきたいと考えています。 (弁護士、「人権と報道関西の会」会員)
略歴 おおた・たけよし 1966年神戸市生まれ。東京大学法学部卒。在学中、山田悦子さんによる甲山事件の講演を聴いて、報道問題に興味を持ちはじめる。その後、東京の「人権と報道・連絡会」に参加。98年大阪弁護士会に弁護士登録。雑誌『新潮45』による少年実名報道事件では、少年側の代理人をつとめる。問い合わせ先など
●「市民・メディア」
代表世話人/前野育三(関西学院大学教授)、野村務(弁護士)
発行者/人権と報道関西の会
事務局/木村哲也法律事務所 〒530―0047 大阪市北区西天満2―9―14北ビル3号館6階 電話06(6366)4147
年会費3000円/人権と報道関西の会 口座番号00990―1―17262ホームページのアドレスhttp://www.sun-inet.or.jp/~hiropon/kansainokai.html
◎シンポジウム12月4日(土)午後1時
エルおおさか(旧府立労働センター)にて