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(2006年10月3日付)
3日間で101演奏会 330曲 |
3日間で101回の演奏会、なじみの330曲――仙台クラシックフェスティバルが、7日から9日まで仙台市内で開かれる。「この音楽祭の主人公は、聴きに来てくださるあなたです」「仙台をクラシック音楽のテーマパークにします」をコンセプトに、前売り入場券は1000円均一、1公演の時間は45分に統一、演奏家によるトーク付き、3歳以上入場可……と、多くの新しい試みが取り入れられている。ここでは、プロデューサー・平井洋さんの談話と、フェスティバルに出演するバイオリニストの前橋汀子さんへのインタビューを紹介する。
(聞き手・野山智章記者)
●談話
プロデューサー 平井 洋さん
聴衆の目線でプランニング
クラシック音楽ファンは普通、人口の1〜2%と言われます。随分少ないようですが、それ以外の人はクラシック音楽が好きでも嫌いでもなく、コンサートに足が向かない層と位置づけられるのではないでしょうか。
それでは“普通の方々”にコンサートに来ていただけない理由は何か――。この点を分析してみることから、仙台クラシックフェスティバルのプランを考え始めました。「音楽会に行かない理由」は、このようなことではないでしょうか。
(1)難しそう。知らない曲が多い(2)曲も長いし、1コンサートも長くて退屈する(3)入場料が高い(4)子供に聴かせたいが、会場に入れてもらえない(5)自分の住む町には一流の演奏家はとても来てくれないだろう……。
クラシック音楽のコンサートは通常、演奏家が演奏したいプログラムを提供する形が主流です。それは芸術としては全く正しいことだと思いますが、多くの方の支持が得られていないなら、何か違うやり方も試みられていいでしょう。
この音楽祭は、聴衆の目線からプランニングしました。1コンサートは45分、中身も短くて面白い曲が多い。前売り1000円の低価格。出演者は趣旨に賛同してくれた一流の方ばかりで、前橋汀子さんのような、お客さんが聴きたいアーティストに出ていただく。また、ファン層を広げるためには、よい演奏家の“本物の音”を幼い頃から聴くべきだと考え、3歳以上は入場オーケーにしました。
おかげさまで、チケット前売り状況は好調です。全体で約4万席あるのですが、3万枚以上売れています。<編集部注 公式ホームページによれば、2日現在で、101(うち有料公演は93)公演中、20公演完売、24公演の残席もわずか>
●インタビュー
バイオリニスト 前橋汀子さん
よい出逢いを子どもたちに
――出演依頼があった際の印象は?
とても、よい企画だと思いました。それで、機会があったらぜひ弾かせてほしいと頼んでいました。
私も2年ほど前から、気軽に一人でも多くの方にクラシック音楽を楽しんでいただこうと、低料金で鑑賞いただける「アフタヌーン・コンサート」を東京のサントリーホールで開いてきました。
でも、私が個人として、また、バイオリンという楽器だけでやれることには限界があります。仙台クラシックフェスティバルは、オーケストラ、室内楽アンサンブル、器楽演奏、声楽、講演と多彩なプログラムが組まれていて、新しいファンを開拓するための魅力に満ちていますね。
――今回が第1回で、これから定着していくかどうかが注目されます。
こういうイベントがきっかけになって、クラシック音楽に興味を持ってくれる層を厚くしたいですね。特に、子どもたちにとって、幼少期に接する音楽は大事だと思うのです。まず出逢いをつくること。それも、よい条件の出逢いを。
自分の子ども時代のことを思い返してみても、何を弾いたかとか、細かいことは覚えていなくても、ある特別な曲であったり、バイオリン弾きの場合は指遣いなどが、記憶の中に鮮明に残っていて、それらのことがきっかけになって、私もバイオリン演奏家を志すようになったのです。
――21世紀において、クラシック音楽の受容はどうなっていくでしょうか。
確かに、モーツァルトやベートーベンが生きた時代と現代では、社会の様々な面で隔たりがあります。しかし、どんなに時代が変化しても、突き詰めて言うと、「人間の本質」は、そんなに変わっていないと思うのです。
ですから、200年、300年前に作曲された音楽作品が、いまだに引き継がれ、親しまれ、世界中で演奏されています。それは何故かというと、やはり、そこに人々が何かを感じて、聴きたいという欲求を起こさせる普遍のものがある。だからこそ“クラシック(古典)”なのでしょう。
――演奏スタイルは、時代によって変化があると思いますが。
そうですね。例えば今回、ベートーベンの「スプリング・ソナタ」を弾くのですが、この曲をどう演奏するかで、その人の音楽的素養が全部見えるような、とても怖い曲なんです。
もう何十回も演奏会で弾いていますが、年齢を重ねるごとに発見するところがありますし、テンポ感も、私の中で微妙に変わってきていると思います。そういうことを表現できたらいいな、と考えながら弾いているのです。
略歴まえはし・ていこ
日本を代表する国際的バイオリニスト。桐朋学園で斎藤秀雄に師事。17歳で、旧ソ連国立レニングラード音楽院創立100年記念の一環として、日本人初の留学生に選ばれ3年間学ぶ。その後、米国ジュリアード音楽院で指導を受け、さらにスイスでヨーゼフ・シゲッティ、ナタン・ミルシュテインの薫陶を受けた。2004年、日本芸術院賞を受賞。2007年2月12日には、「アフタヌーン・コンサートVol.3」が開催される。
【問い合わせ先など】
●入場券の問い合わせ先 チケットぴあ 電話 022―217―2505
●公演の問い合わせ先 フェスティバル事務局 電話 022―728―3551
●公式ホームページ http://www.bunka.city.sendai.jp/sencla/