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(2005年8月9日付)
信用度では新聞が“健闘” |
今の若者は、マスメディアをどのように利用し、どの程度信用しているのだろうか? 新聞、テレビ、雑誌、インターネットそれぞれに、メディアとしての、ジャーナリズムとしての特徴がある。本稿では、女性平和文化会議が10代から30代の若い年代を対象に行った調査(2261人が回答)をもとに、若者のメディア観を紹介したい。
この調査では、「何から一番情報を得ているか」という質問に対して、「テレビ」をあげた比率が6割近くと圧倒的な比率を占めており、「新聞」「インターネット」を完全に上回っていた。「物事を判断する際に、一番影響を受けているメディア」も、「テレビ」が4割近くを占めており、「友人との会話」「新聞」「親との会話」を完全に圧倒している。若者の「活字離れ」と、テレビの圧倒的影響力を裏付ける結果だ。
新しい媒体である「インターネット」も、情報源にはしているものの、判断の基準としては、まだまだ新聞や会話などの情報源と比較すると、比率が低い。
メディア情報の信用度はどうだろうか。「テレビ」は、情報源にし、判断への影響力もあるが、70%以上信用しているのが約4割。「新聞」は、70%以上信用しているのが約6割だから、情報の信用度という点では、若い世代にとっても、新聞の信用度のほうが断然高いということができる。一方で、「週刊誌」は70%以上信用しているのがわずか4%程度。同じ活字メディアでも、「週刊誌」の情報信用度の低さが目立つ。若者も、かなり醒めた眼で週刊誌報道を評価しているようだ。
日本のジャーナリズムは、「新聞」「テレビ」「週刊誌などの雑誌」で、それぞれの棲み分けがなされていると言われているが、若者も、「テレビ」に情報を依存しながらも、「何が真実を伝えているか」について、「新聞」「テレビ」「週刊誌などの雑誌」のジャーナリズムとしての相違を、鋭く見抜いているといえよう。
だが、気になる結果もある。判断する際にもっとも影響を受けているメディア別に、「新聞」「テレビ」「週刊誌」の信用度を見ると、「新聞」に対する信用度(70%以上)はどのメディアを判断基準にしていても高い。しかし、「テレビ」に対する信用度(70%以上)と「週刊誌」に対する信用度(50%以上)は、新聞を判断基準にする層でのみ低く、インターネットを判断基準にする層では、テレビを判断基準にする層とあまり変わりがない。
また、20代、30代のみを対象に、「選挙には行っているか」を尋ねているが、「必ず行く」と答えている比率は、新聞を判断基準にする層では77・7%と高率だが、インターネットを判断基準にする層では、48・9%と、テレビを判断基準にする層よりも比率が低い。
インターネットという新しいメディアを判断基準にしている層は、もちろん、これまでの活字離れの現状を変え、さまざまな社会的課題について、新しい視点で世論を形成する可能性もある。しかし、テレビの代替機能をインターネットに求めつつ、情報のクオリティー(質)についてのチェック機能が十分に果たせなくなり、公的空間への社会参加を阻害する懸念も内包しているということが言えよう。
1998年に生じたクリントン米国大統領のモニカ・ルインスキー実習生との不倫疑惑。それは、ニューズウィーク誌の記者が、取材でかなりの確証はつかんでいたものの、没にしたネタを、インターネットジャーナルの「ドゥルージ・リポート」が出したのがきっかけだった。一流紙の記者が、インターネットから裏付けも取らずに情報を剽窃し、記事を捏造する事件も頻発している。
日本でも、インターネットが情報源としての地位を占めつつあることで、メディア環境が変わろうとしている。現在のところ、インターネットは、「新聞」「テレビ」「週刊誌」の機能が、いわば混在した状態ではあるものの、米国のように、インターネットジャーナルがマスメディア報道にまで影響を及ぼす事態にはなっていない。特に、新聞報道の質に関して、日本は非常に高い水準を保っているし、若者もそれを評価している。
しかし、今、インターネット情報に依存しつつある層は、インターネットに新聞と同じような高い情報水準を求めているというよりも、むしろ、テレビに依存している層と同じように、情報の質よりも、即時的満足を求めている可能性がある。
若者層の情報に対する厳しい眼を養うためにも、新聞が情報源として持っている信頼性について、より啓蒙を強めていく必要性を、今回の調査結果は示唆しているといえよう。
(明治学院大学教授)
略歴かわかみ・かずひさ 1957年、東京生まれ。東京大学卒。同大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東海大学助教授を経て現職。専門は社会心理学・コミュニケーション論。著書に『情報操作のトリック――その歴史と方法』『メディアの進化と権力』『北朝鮮報道・情報操作を見抜く』など。