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寄稿論文

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第3世界の視点によるニュース発信

日本語ホームページを開設したIPS通信の東京特派員スベンドリニ・カクチさんに聞く

(2000年9月26日付)



途上国の庶民から遠い日本のマスコミ報道

先進国中心の情報バランスをただすべき



 ともすれば情報発信は、北(先進国)から南(途上国)への一方向的な流れに偏(かたよ)る傾向がある。こうした中で、国連経済社会理事会のNGOでもあるインター・プレス・サービス(IPS)通信が、南側の視点によるニュースの発信を行っている。昨秋からは「アジアからのニュースを日本語で」を謳(うた)い、日本語ホームページを開設した。ここでは、東京特派員のスベンドリニ・カクチさんに話を聞いた。(野山智章記者)


 ――IPS通信の特長とは?

 記事は、すべて第三世界のアングルで、途上国の人々の思いを反映して書かれています。例えば私の場合では、東京での記者会見を取材しても、〈日本の出来事がアジアや第三世界にどう影響するか〉という視点を盛り込んで報道するようにしています。また、分析や背景説明を重視しています。

 IPS創立者はイタリア人の記者です。彼は白人・先進国中心のニュース報道に疑問を抱き、自分の不動産を担保に銀行から融資を受けて、数人の記者仲間で通信社を立ち上げました。真実を伝えるために情報発信のバランスをとろうとしたのです。

 ――なぜ、日本語ホームページを立ち上げたのですか。

 IPSのニュース配信は当初は英語だけでした。現在は、スワヒリ語、ヒンディー語、インドネシア語、中国語……など現地語での配信を行っています。その理由は、第三世界で英語が読める人は一部の階級の人に限られるので、より多くの人々に伝えたいからです。各国の学校で活用してもらったり、“草の根”の多くの人の眼に触れるよう試みています。

 日本語ホームページは昨年十月からスタートしました。日本語での配信は私の以前からの念願でした。アジア財団(米国の政財界、市民の支持で一九五四年設立された非営利団体)に勤務しているジャーナリスト出身の友人に話をしたら、「いい記事をピックアップしてホームページで公開したらどうだろう」というアイデアが出ました。このアイデアにアジア財団、トヨタ財団が賛成し、その助成を得て、ホームページの開設にこぎ着けました。

 ――日本のマスコミには登場することの少ない第三世界の情報を発信した手応えは。

 日本に来て十七年以上になりますが、かねがね日本のマスコミが、第三世界の庶民の生活に目を向けていないことに違和感を抱いていました。また、経済大国・日本のマスコミが発信している記事も、途上国の庶民から見て遠い世界の出来事ではないかと思い続けていました。

 幸いホームページは好評で、「こういう記事を読みたかった」「もっと配信を増やして欲しい」などの反響が届いています。海外に在住している日本人読者からの電子メールもありました。米国の地方紙にはIPS配信の記事がしばしば掲載されますが、日本では一部の媒体が採用してくれているだけです。ホームページが契機となって、もっと多くの日本人に記事が読まれることを願っています。




略歴 Suvendrini Kakuchi スリランカ生まれ。コロンボ大学卒。上智大学に留学し、『セイロン・オブザーバー』記者、共同通信海外部を経て一九九○年から現職。九七年には、ジャーナリスト向けの特別研究員制度「ニーマン・フェロー奨学金」を得、ハーバード大学に留学した。


国連NGOのIPS通信とは

世界第6位、小都市からのレポートが得意

 共同通信に次ぐ世界第六位の通信社。1965年創立。世界の小都市からのリポートを得意とし、主に第三世界のニュースを発信する。ローマに事務局があり、ワールド・デスクはメキシコ市に、アジア支局はバンコクに置いている。現在の編集部長は女性で、ジンバブエに在住。社員数は全世界で70人。

取材メモ  ユニークな記事割り、転載自由と

 IPS日本語ホームページを覗(のぞ)いてみると、ニュースは、「国際」「社会」「環境」「女性」「人権」「医療」に分類されている。他の通信社と比べても、この「記事割り」自体がユニークだ。

 内容も、インド発の「日本人グルメの犠牲になる女性労働者たち」や、ジャカルタ発の「子供の人権に政府は責任を持つべきだ」など印象的な記事が多い。

 カクチさんは「聖教新聞の読者の方々にも私たちのホームページを見てもらいたい。また、すべての記事は転載自由ですから、地域や学校などの印刷物に転載するなど活用して欲しい」と呼び掛けている。

 ●IPS日本語ホームページのアドレスは次の通り。

 www.ipsnihongo.org