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4月28日に放送されたNHKスペシャル「奇跡の詩人―11歳 脳障害児のメッセージ」をめぐって、今月8日兵庫県下で学者や市民が参加した公開緊急集会が開かれた。
立つことも話すこともできない少年が母親に手を添えられて文字盤を叩き、難解な表現を駆使して10冊の著作を世に出してきた。11歳までに2000冊の本を読破してきたというから、事実とすれば文字どおり奇跡だろう。
だが放送直後から「感動」の声とともに、“奇跡”を疑問視する抗議や批判が局に寄せられた。インターネットや週刊誌でも論争が続いている。
放送法第3条では、意見が対立する問題については多くの角度から論点を明らかにすることが義務づけられている。
しかし番組では、有効性に賛否両論ある治療法を少年に奇跡をもたらしたものとして手放しで紹介し、2000冊の読書や目にもとまらぬ速さの文字盤叩きについても科学的検証を全く怠っていた。
番組がきわめて特殊な例を何の客観的検証もしないまま「奇跡」と題してセンセーショナルにもちあげたことは間違いなく、「多くの疑問を視聴者に与えてしまった」(渡辺武達・同志社大教授)
情緒に訴えるだけの構成は、視聴率を狙った「やらせ」と批判されてもいたしかたがない。同じような脳障害児を抱えた家族にこうした安直な番組を見せることの罪深さをどう考えているのか。
NHKの制作手法は、障害者を担ぎ上げて視聴者の好奇心に訴えただけとの批判を招く、非常に危ういものだ。
(東晋平・ジャーナリスト)