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欧州マスコミにおける女性の地位
三崎ロイヨ由美子



「男女共同参画社会」の理念を軸に改善へ

湾岸戦争を契機に“戦場”の報道にも進出

 一九九五年の国連調査によれば、日本の全メディア業界に占める女性の割合はわずか八%、調査対象となった四十三カ国中、最低であった。欧州では、ルーマニア四九%、ノルウェー四四%など中東北欧の比率が高く、西欧は英国三八%、最低のイタリアでも二九%と、平均して三人に一人は女性である計算になる。

 日本よりは、ましに見える欧州の数字だが、その実態は男女互角とは言い難い。メディア組織内部のヒエラルキー(階層)において、部長や編集長などの管理職をはじめ、社長、副社長、取締役などトップレベルを占めるのは男性だ。西欧諸国でメディア組織最高責任職につく女性の比率は、平均して一一%に過ぎない。もっとも、この数値ですら日本のメディア業界の現状からすれば“驚異的”かもしれないが……。

 しかし欧州レベルでは、変革のための措置は進められてきた。欧州議会は八七年の「メディアにおける女性像とその位置」に関する決議において、欧州連合(EU)諸国のメディアや広告業界、政府に対し、男女の平等な労働機会を保証し、職業・政治・社会的生活における女性の役割の多様性を明瞭に示す措置を取るよう勧告した。更に九五年には、EU理事会が、メディアや広告の性差別的表現内容を監視する機関の支援、メディアの自己調整法規の作成と適用、メディア組織指導層の男女均等などの措置を奨励する決議を打ち出した。

 特に、職業養成・雇用に関する女性優遇政策で成果が見られる。英BBC放送では、各部職員の男女比率均等化を進め、八二年には皆無であった女性幹部の比率が九四年には一八・五%にアップし、職場に託児所も設けられた。またオランダ放送では、女性が特に少ない部門について、男女志望者が同等の資格を持つ場合、一貫して女性を起用している。

 政治的改革を待たずとも、女性の活躍領域は広がりつつある。フランスでは、バカンスで不在の男性記者にかわって女性が活躍した湾岸戦争を転機に、ボスニア戦争やユーゴ空爆など、危険な現場にも女性が派遣されるようになった。戦場を背に必死にマイクを握る女性リポーターの姿は、平和な茶の間のブラウン管に良く映える。格好のマーケティング戦略として利用されたことを見抜きながらも、「男の現場」に開いた突破口を、彼女たちは最大に活用しようとしている。

 欧州と同様に、女性の表現の権利を擁護する国連も、メディア内部で強化される「女性の視点」を、メディア自身が作り上げてきた男女の虚像を破るだけでなく、報道内容の価値と優先順位に変化をもたらし、より対象の実像に迫り伝える武器として期待する。メディアにおける男女平等が、単なるフェミニズムの問題ではなく、人権にかかわる課題として捉えられた時、この「武器」は真価を発揮するに違いない。(在仏ジャーナリスト)