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浅倉拓也著『アメリカの報道評議会とマスコミ倫理』について



  本書は、日本新聞協会・国際部に勤務する気鋭の研究者による、米国報道界の自主規制の現状を捕捉(ほそく)した貴重なリポートである。

 かつて米国にも、英国やスウェーデンと同様に全国のメディアを対象とした全米報道評議会という自主規制機関が存在していた(一九七三年設立)。しかし、ニューヨーク・タイムズ紙など有力メディアの支持を得ることができず、活動を無視され続けた結果、八三年に解散となった。

 そうした中で例外ともいえる成功を収めているのが、ミネソタ新聞協会が中心となって七一年に設立されたミネソタ報道評議会である。当初から州内の各新聞社に支持され、数年後には放送メディアも参加、資金も年々増加して活動はますます活発になっている。

 今まで日本に報道評議会ができなかった理由の一つに、全米報道評議会の挫折が挙げられている。が、ミネソタ報道評議会の活動はCBS放送の人気番組『60ミニッツ』に特集され、全米二十八の州から「我が州にも設立したい」と問い合わせが入るなど脚光を浴びているという。

 日本新聞協会の調査でも、読者が新聞に寄せる信頼度はここ数年大きく落ちこんでいる。こうした日本の現状を考えれば、「米国ジャーナリズムの選択」(副題)であるミネソタの“実験”に着目した著者の報告に耳を傾けるべきだろう。





【データ】

著者:浅倉拓也
書名: 『アメリカの報道評議会とマスコミ倫理』
発行: 現代人文社/大学図書
定価: 1800円+税